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従業員の意思による残業、早出は労働時間になる?
上司の指示によらず、従業員が自主的に残業したり、始業時刻より早く出勤した場合の時間は労働時間になるのでしょうか?
まず、労働時間とはどういう時間をいうのでしょう?
「労働時間」とは
・労働者が使用者の指揮命令下におかれている時間
をいいます。
業務活動に従事しているだけでなく、使用者の指揮命令によるものと判断される場合に「労働時間」となります。
そのため、使用者の指揮命令によらず、従業員が自主的に早出、残業した場合は基本的には労働時間にあたりません。
しかし
①使用者から業務活動を義務づけられた場合
②業務活動を余儀なくされた場合
は、使用者の指揮命令下におかれたとされ、労働時間に値します。
では、
①使用者から業務活動を義務づけがあったかどうかを判断する際
・早出について
その日にまだ指揮命令下に置かれていない状態で従業員が自主的に早出をし業務を行った場合は、使用者の義務付けがあったと評価される可能性は低いでしょう。
・残業について
一度、指揮命令下におかれた後の時間になるため、たとえ従業員が自主的に残業したとしても、指揮命令下の行動の延長ととらえられ、黙示の命令があったとして労働時間になる可能性がでてきます。
この場合は、使用者が残業を止めて退社するよう命じなければなりません。
残業を放置しておくと労働時間となり、割増賃金の支払い対象になるので注意が必要です。
②業務活動を余儀なくされた場合も
残業の義務づけがなくとも業務過多のため、残業せざるを得ない雰囲気であれば義務付けがあったとみなされても仕方がなく、労働時間となり割増賃金の対象となる可能性があります。
このように残業、早出に関しては細かな使用者のチェックが欠かせないと言えるでしょう。
台風接近時の社員への帰宅支持はどうする?
9月、台風の多い時期です。
院長先生も「台風接近時の従業員への帰宅支持、許可をいつどのように出せばよいか頭を悩ませるのではないでしょうか?
今年6月19日に接近、上陸した台風4号のケースは他業種の企業はどのように対処したのでしょう?
(ケース1)製造業A社
★対応 昼過ぎに直撃が予想されていた。
しかし帰宅時間までの時点で風雨の状況、交通機関の状況が深刻ではなかったので、早い帰宅許可や命令はしなかった。
★最近では交通機関の停止に備えて早めに帰宅させるケースが増えている
(ケース2)旅行代理店B社
★対応 昼ごろまでに帰宅命令を出した
★帰宅命令を出すほどでもない場合は現場のマネージャーが社員の住居や状況を勘案して独自に判断
このように明確な判断基準や発令のタイミングなどはなく、人事部と現場のマネージャー、担当者がいなければ経営者が
主体となってそのつど、状況を予測しながら判断しているということのようです。
「自院は帰宅の判断をどのような状況になったら出すのか?」
というのは早めに決めておくことがいざというとき、慌てることなくまた従業員が安心できることにつながるでしょう。