労基署調査への対応ポイント
動物病院は労働環境が決して良いとは言えない事が多く、また先生方も診療や経営でお忙しく分かっていてもなかなか労働環境の本格的な改善に手をつけれないケースが見られます。
しかし、そのままにしておくのは決して良くありませんし、労働基準監督署の調査が入った時に大きなダメージを負ってしまうことにもなります。
「何が問題として改善を指示されるのか」
「どんなダメージがあるのか」
は知っておく必要があります。
どのように調査が入るのか?
労働基準監督署の調査は
①定期調査
②申告調査
③災害時調査
とありますが、おそらく多いのは、②の申告調査でしょう。
在職している従業員または退職した従業員からの通報により行われます。
調査の連絡はどのように来る?
以下のいずれかの方法で行われます。
①予告なしに病院に臨検にやってくる
②「○月○日に調査に来る」旨の電話や書面が届く
③「○月○日に来所ください」の旨の書面が届く
近年は③の呼び出しでの調査が多いです。
これらの調査は法律に基づくものなので、拒否することはできません(ただし日程変更のお願いはできます)。
間違っても無視したり、ごまかしたりせずに真摯に対応をすればダメージは最小限に抑えられます。
労務管理の見直しのきっかけと思って、前向きに考えていきましょう。
突然、内容証明で労基署から手紙が届いたとしても慌てず、まずは当事務所にご連絡ください。
現状をヒアリングし、事前に問題点の洗い出しを致します。
その後、どう対応したらよいかをアドバイスいたします。
何を調査するのか?
調査となれば必ず指摘されるといっていいポイントがあります。
逆に考えれば、これらのポイントをしっかりと押さえて調査に臨めばよいわけです。
項目 |
内容 |
雇用契約書などの整備状況 |
雇入れや労働条件変更時に「書面で」契約書などを整備しているか |
36協定の締結・届出の有無 |
残業などがある場合、36協定を締結し届出しているか |
割増賃金(残業代)の計算 |
残業などがある場合、計算は法定通りになっているか |
休日数 |
休日数が法定の日数をクリアしているか |
労働時間管理 |
労働日数・労働時間・残業時間・有休数などを管理しているか |
就業規則の届出状況 |
従業員10人以上の場合、就業規則を作成し届出しているか |
定期健康診断などの 実施状況 |
原則年1回の健康診断を実施しているか |
残業代のチェックポイント
残業代の未払いに関する相談は非常に多く、そのために調査がされることは動物病院でも十分にありえます。
監督官はタイムカードや賃金台帳のどこを見ているのでしょうか?
ポイント1 1日の労働時間が8時間を超えていないか
ポイント2 1ヶ月の労働時間が173時間(※1)を超えていないか
ポイント3 残業の単価計算の際、基本給だけでなく他の諸手当も含めて計算しているか(※2)
※1 週法定労働時間40時間×年間52週÷12ヶ月=173 この時間を超えていれば「法定労働時間を超えているはず」
⇒残業代を支払っていないとおかしい
※2 残業の単価計算から除いてよい手当は、通勤手当や家族手当など一部に限られる
調査で必要になるものとは?
一般に調査で必要となるものは以下のものです。
•賃金台帳
•タイムカード
•36協定
•変形労働時間制などの労使協定
•就業規則
•労働条件通知書
•労働者名簿
●実際に調査の手紙が届いた
●労働環境に不満を持っている従業員がいる
●ここ1、2年以内に不満を持って退職した従業員がいる
●現在の労働条件を変えないと、調査が入ったときに指摘されるのではないかと思っている
このようなことがありましたら、お気軽にご相談ください。
十分なヒアリングと現在の書類を確認した上で、問題点を明らかにし、対応方法をアドバイスいたします。
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